箏って昔からあるけど、具体的にいつの時代からあったの?
この記事では、箏がどのような歴史を経て現代に至るのかを紐解いていきます。
ちょっとした日本史の勉強にもなって一石二鳥の記事となっています。
はじめに
前提として、「コト」には2種類あります。
箏と琴。これは表記が違う同じ楽器ではなく、そもそもが別の楽器なのです。
コトの歴史は複雑なので、箏・琴と表記を分けながら説明していきますね。
3世紀
200年(3世紀)頃、日本にはすでに琴の原型となる楽器がありました。
これは遺跡の発掘や調査などからわかっています。
箏を弾いているはにわも見つかっているようです。かわいいですね。
少なくとも、弥生時代から楽器自体はあったことがわかります。
この頃、琴や琵琶などの弦楽器はまとめて「コト」と呼ばれていました。
コトは神聖な道具として祭祀などに使われ、権力者の象徴しての機能もありました。
敷居が高いと思われているのは、こういった背景もあるのですね。
700年(8世紀)頃
700年(8世紀)頃の奈良時代、中国大陸からも文化が渡ってきます。
その時に多くの文化や楽典と一緒に日本に伝わったのが、同じく「箏」と呼ばれる楽器。
めちゃくちゃややこしいですね。
これが後に主流になる箏の伝来です。
日本古来の琴と中国大陸から伝わってきた箏。
それらが両方存在し、複雑に絡み合っていました。
9世紀なかば、楽制改革
平安時代になり、コトはいつしか「権力者の象徴」から「貴族のたしなみ」に変わっていきました。
この頃になると外国から様々な文化や音楽が伝来してきて、日本も少し混乱してきました。
そこで一旦整理しよう!ということになり、行われたのが楽制改革です。
これにより、曖昧だったコトが、箏、和琴、琵琶に区分けがされるようになりました。
ちょっとわかりやすくなりましたね。
室町時代後期
時代は貴族から武士や僧侶に移り変わっていきます。
箏は寺院で弾かれるようになっていました。
そんな時、賢順という僧侶が箏の新しいジャンル「筑紫流箏曲」を編み出しました。
これは佐賀藩の武士にウケ、そういった一部で人気となりました。
江戸時代
それから80年後、賢順の弟子の法水に教わった八橋検校が「八橋流箏曲」をつくって大ブームに。
八橋流十三曲といわれる組歌、「六段の調」「八段の調」「乱れ(輪舌)」などの段物(だんもの)と言われる楽曲の原型を作ったといわれています。
今でも弾くような名曲ばかりです。
この時代は段物が人気だった傾向が見て取れますね。
これにより武士だけじゃなく一般大衆も惹きつけ、箏がどんどん広まるきっかけとなりました。
生田流の登場
八橋検校の弟子の北島検校は、八橋流箏曲を改定して生田検校に伝えました。
それをもとに改良を重ねて生まれたのが生田流です。
「残月」「越後獅子」「吾妻獅子」など、手事物といわれる3部構成の名曲を残しています。
山田流の登場
その100年後、江戸で山田検校がまた新たな箏曲をつくりあげました。
それが後の山田流となります。
江戸の浄瑠璃と言われた河東節をベースにつくりあげた山田流の箏曲は、より民衆寄りの曲でした。
ユニゾンから複旋律へ 京流手事物
八重崎検校による京流手事物は、これまでのユニゾンだけではなく複旋律による合奏を可能にしました。
これでより音楽の幅が広くなりましたね。
京流手事物には、松浦検校が作曲した「末の契」や、菊岡検校作曲の「夕顔」などの代表曲があります。
明治維新
それまでの箏曲からの大きな転機は、なんといっても明治維新。
海外の文化を多く取り入れたことによって、箏の形式もどんどん多様性が広がっていきました。
洋楽の演奏法が多く日本に入り、箏曲の可能性はどんどん広がっていきました。
菊塚与一による「三(みつ)の景色」では、絃を爪などではじくピチカート奏法が使われるようになりました。
その後、宮城道雄が登場したことでさらに箏曲の進化が起こりました。
お正月に流れる「春の海」のように、印象的なメロディーが多いのも特徴です。
明治維新前の曲を古典曲、明治維新後の曲を近代箏曲と呼んでいます。
宮城道雄は近代箏曲の父として知られ、箏界に大きな変化を与えました。
戦後の箏曲
戦後にはまた大きな変化がありました。
現代邦楽の登場です。
現代邦楽は現代曲とも呼ばれ、洋楽性も取り入れたより新しいジャンルとなります。
洋楽の演奏家にも受け入れられるようになった箏は、今までのあり方とは全く異なるジャンルを確立しました。
箏自体もだいぶ一般家庭のお稽古のひとつとして定着して箏を弾く層が広がったのも、箏の可能性を広げる一歩だったといえます。
そして現代へ
現代では和楽器バンドをはじめ和ロックとしてのジャンルも確立され、若い層からの人気も高まっています。
アニメでも箏が扱われるようになって、より時代に沿った箏曲になっていますね。
和楽器同士だけではなく、ギターやベースなどとも一緒に演奏されることも増えました。
1300年の時を越えて、箏は時代に沿ってジャンルは移り変わりながらも愛され続けています。
まとめ
今回は箏の歴史についてまとめて紹介しました。
箏と琴があったり、流派が分かれたり、ややこしいことだらけな箏の歴史でしたね。
ただ、時代の移り変わりと共に箏のあり方が変わっていく様子は、とてもおもしろいと思います。
そんな波乱万丈な歴史を超えて残り続けてくれたこの箏が今後どのように進化していくのか楽しみですね。
この記事を通して、箏の歴史が身につきましたら幸いです。
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