※画像はイメージです
三味線や箏の弦の素材「テトロン」。
その名前と、絹糸よりも切れにくいということは知っているものの、テトロンについて知らないことばかりだと感じ、テトロンがどんなものか調べてみました。
テトロンとは
テトロンはポリエステル繊維の一種です。
テトロンは東レとテイジンが開発した製品であり、この2社が製造したものがテトロンと呼ばれます。厳密にはテトロンではなく、テトロン®︎という表記のようです。
テイジン、東レ(とうれ)が開発したナイロンで“テトロン”という名称だそうです。
今までは合成繊維などの総称的なイメージで、ポリエステル=テトロンかと思っていましたが、そうではないということです。
参考:テトロンとは – はてなキーワード – はてなダイアリー
参考:生地屋本店 テトロンとは?
テトロンの原料
テトロンはポリエステルを原料に製造されています。
ポリエステルといえば、衣類に使用されることが多い原料ですね。弾力がありつつも、耐久性などもある原料です。
テトロンの特性
テトロンの特性はその強度と安定性にあります。
テトロンはポリエステルの長所でもある耐久性や耐摩耗性など、長年の使用などに耐えうる強度と安定性を備えています。また、弾力性の高く収縮し辛いという点も特性です。
これらの特性があって、テトロン糸は長年に渡って使用することが可能なんですね。
参考:東レホームページ ポリエステル繊維 東レ テトロン®
参考:i-MAKER.news ポリエステルの特性と用途
テトロンはどんなものに使われているのか
テトロンは上記の特性から、長年形状をとどめておく必要があるものなどに使用されることが多いようです。
生地を始め、車のシートベルトやフィルム・ラベル類など本当に身近な所でテトロンは使用されています。
そして、三味線や箏をやる人が「確かにテトロンだ!!」と思うがあります。
それは
ネットです!!
小学校のグラウンドに張られたネットや漁業に使用されている網、あれにもテトロンが使用されていたりします。
確かにあの触りごごち、よられた糸の感じが箏のテトロン糸のようです。
糸としてのテトロン
ここまで素材としてのテトロンについて色々と見て来ました。
しかし実際に箏などに使用するに当たって、糸としてのテトロンってどのようなものなのでしょうか。
今回は絹糸やナイロン糸とテトロン糸の引っ張った際の強度について調べてみました。
引っ張った際の強度はcN/dtex(センチニュートンデシテックス)という度合いで計測するそうです。
度合いは以下のような感じです。
繊維の種類 | 引張強度(cN/dtex) |
絹 | 2.6~3.5 |
ポリエステル | 3.8~5.3 |
テトロン | 3.9~8.4 |
ナイロン | 4.2~5.6 |
(テトロンの値は東レ様のテトロン類の素材表から、絹、ポリエステル、ナイロンの値はtoishi.info様の繊維の引張強度の比較というページの値を引用しております。
これをみるとテトロンの材質にもよりますが、テトロン糸の強度がとても高いことが伺えます。
和楽器ではナイロンが上位に来ますが、テトロンの最低値とナイロンの最低値を比べると実際はそこまで違いがないことがわかります。また、テトロンとナイロンに比べると絹糸の強度が低いこともわかります。
絹は強度が低い分しなやかで柔らかいということなのでしょうか。こう言った部分が音に影響していると考えると面白いですね。
参考:東レホームページ ポリエステル繊維 東レ テトロン®
参考:toishi.info 繊維の引張強度の比較
まとめ 安定性と強度が良いテトロン。もちろん注意も必要。
耐久性や湿気などにも強く、切れにくいテトロン。メンテナンス性やコスト面を考えると非常に良い素材です。
しかし一方で注意も必要です。強度があるということは、楽器が負ける可能性があるということです。
弦を無理に引っ張ったり、必要以上に弦が張られるような状態にすれば、楽器の元になっている木材の方が強度負けして欠けたり破損したりする恐れがあります。
楽器と弦の組み合わせも気にしていくことが大切ですね。
「テトロン」について調べてみて
テトロンについてのまとめ、いかがでしたか?
実は三味線や箏の糸だけでなく、身近な至る所で私たちの生活を支えてくれたんですね。
普段何気なく使っているものにスポット当ててみると色々な気づきがあっておもしろいですね!!
今回はテトロンという素材について調べましたが、今後は実際にテトロン糸のメリットやデメリットなどについても紹介していきたいと思います。
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