こんにちは、和楽器メディアです!!
今年から影藤のプロデュースをしていますが、一昨年中棹三味線をオークションで購入したことがあります。頑張ろうと思っていたのに中々使ってあげられなくて申し訳ない限りなのですが…
今回は今尚三味線ど素人の私が、オークションで三味線を買う時につまずきまくり、学んだ津軽三味線探しのポイントをご紹介いたいします。
これから津軽三味線を始めたいって人の役に少しでも立ったら嬉しいです。
津軽三味線を買う
最初に躓いたのは「何を買うべきなのか」という所でした。津軽三味線を身近で見る機会は多いものの、持っていた前知識は
- 太棹三味線
- 大きい
くらいでした。
どこで買うのか?新品を買うべきか中古を買うべきか、なども分からない状態です。
そして悩んだ結果として、今回はヤフーオークションで中古の三味線を探すことにしました。
新品の津軽三味線は高く…中古でも中々のお値段がします。
お金はない!!でもとにかく触れて練習できるものが欲しかったんです。
今回はオークションを利用しました。
ヤフオク・メルカリなどを見ましたが、ヤフオクの出品数は群を抜いて多く、一番良さそうです。
ちなみに、お金はある。新品が欲しい!!という方はお店で買うのがベストです。お店だと実物を目で見て、色や大きさを確認したり、試奏したりできるのが良いですよね。
また、お店であれば、一から教えてくれるので間違いない一品が買えるはずです。そして、その場で必要な小物なども、お店の人に聞きながら買えるのが嬉しいですね。
話は戻り、ヤフオクで三味線を買うことにし私ですが、色々な苦労の末にこちらの三味線を落札しました!!
お値段は『17,000円』でした!!ギリのギリまでは10,000円切ってたのですが、そこはオークション。やはり最後は値段が上がりました。
この三味線を選んだ理由は以下の通りです。
- 値段が安い
- 付属品が豊富
- 皮破れがない
- 竿も壊れていない
買ってすぐに始められることが決め手でした。
ヤフオクだと皮が破れている三味線などもよく出品されています。素材は非常によく、まだまだ使えるものばかりなので大変お得ではあるのですが、買って最初に修理という工程がある為、今回は避けました。
また、こちらの三味線は中棹三味線です。私は津軽三味線を始める上で太棹が必須だと思っていましたが、民謡は中棹でも全然問題なく、むしろ三味線のサイズ感としては中棹の方がフィットするという場合もあります。
探す方は太棹だけでなく、中棹も視野に入れて探して見てください!!中棹だと太棹に比べ、今回の三味線のようにお値段も安く購入できることが多いです。(太棹は軒並み高額になりやすいです。)
次は実際に『三味線を探す・買う時に見ていくポイント』をご紹介いたします。今回は津軽三味線奏者の方にアドバイスしていただきながら吟味していきました。
実物を見ればパッとわかるのですが、オークションに掲載されている写真だけだと中々判断しづらい場合などがあります。また、付属品も欠品していたりすることもあり、色々な要素から判断していくことが大切です。
棹の太さ
写真は左から、太棹→中棹→細棹。
まず見るのは『棹の太さ』です。
面幅と呼ばれる棹の面(弦を張る面)の幅を確認します。津軽三味線は太棹三味線が主で、太棹だと面幅が『3〜3.5cm以上』とかなり太めです。
一目でわかるものもあればわかりづらいものもあります。オークションなどだと面幅も記載している場合があるので、要チェックです。
記載がない場合は出品者に問い合わせて見るのもありです。
私が購入した三味線は面幅が2.9cmなので、中棹の部類に入ります。度々ですが、太棹でなくともよいにですが、気になる方は太棹を探しておけば間違いはないです。
また、太棹の場合、『糸巻きが大きい』のもポイントです。
棹が鳩胸かどうか(鳩胸でないこと)
『棹の胴に近い部分が鳩胸かどうか』もチェックポイントです。
鳩胸とは胴に近い部分の竿が滑らかな曲線を描いているものです。長唄三味線は鳩胸になっています。
津軽三味線の場合、『鳩胸ではない形』になります。これは胴に近い部分まで弾く為です。このポイントは太さよりも見極めが楽なポイントです。
▼鳩胸が特徴的な細棹三味線
▼鳩胸になっていない三味線
さわり(東さわり)
棹に『東さわり』が付いているか、これも見るポイントです。
東さわりというのは一の糸(一番太い糸)の上駒(糸巻きの少し下)に付いているパーツです。表面から見ると四角だったら丸だったりのポチっとしたものがあります。背面から見るとネジ巻きのようなものがついています。
東さわりはネジを回すと面に対してパーツが飛び出るようになっています。
これを調整することで、倍音を出す機能です。太棹であれば基本的には付いています。中棹の場合、地唄で使用される三味線はほとんどついていません。
中棹か太棹か判断が難しい場合、東さわりの有無を見てみるのもポイントです。中棹が良いという場合も、東さわりはあっても損はないと思うので、確認しておくのが吉です。
ちなみに、東さわりがなくても『さわり』自体はどの三味線にもあります。糸巻き下にあるフレットのようなパーツの一の糸の部分だけなかったり、溝になっていたりと形は様々です。東さわりだとさわりの強弱の調整がしやすいという感じです。
胴かけ
胴かけは三味線の胴に付いているパーツのことで、腕を乗せる部分にあたります。
太棹の胴かけは『樹脂製のツヤツヤした胴かけ』の場合がほとんどのようです。地唄・長唄・民謡の三味線の胴かけは布製のものが多いです。写真だと、右から二つ目の三味線が太棹です。胴かけが樹脂製でツヤツヤしています。
胴かけも一見して判断しやすいパーツなのでオススメです。しかし、オークションだとそもそも胴かけがない場合もありますので、お気をつけください。
見極めにプラスできるポイント
以下のポイントは、購入時の見極めにプラスできるポイントです。必須ではないですが迷っている場合に参考にしていただければと思います。
皮破れ
買ってすぐに練習したいという人は皮の破れていないものを探すのが良いです。しかし、皮の状態は写真だけでは分かりづらく、破けてなかったけど買って見たら、すぐに張り替えなんてこともあるようです。
私も今回皮破れのないものを選んで買いましたが、張り替え前提で、破れていても良い三味線を購入し、張り替えるというのもよくあることだそうです。張り替えはお店や貼る皮にによって様々ですが、3~4万円前後です。
津軽三味線の場合犬皮が多く、犬皮破れなしだったら買いです。
バチ皮
『バチ皮』は胴に貼ってある皮の上にさらに貼ってある皮のことです。バチで胴の皮を傷つけないように保護する為に貼ります。
津軽三味線のバチ皮は『胴の中心部分まで貼る長いタイプ』です。
これは、津軽三味線が前バチ後ろバチといって、胴を広く使用する為です。
地唄や長唄は、バチ皮が丸く、胴の上の部分のみのものになります。また、民謡で使用している三味線だと、中間くらいの大きさだったりする場合もあります。
そもそも貼ってなかったり、剥がれている場合もあるのでプラスアルファくらいで確認する感じです。
津軽だけど避けたい場合の三味線のポイント
以下のポイントは、太棹などではあるものの購入は控えた方が良いポイントです。主には破損なので、オークションで記載されている場合が多いですが、記載がない場合もあるので写真などをよく見て確認して見てください。
天神・棹・胴などの破損
天神とは、三味線の一番上の部分になります。
『天神は音の命』です。これが大きく破損している場合、棹を変えないといけなかったりするそうので、注意が必要です。また、胴、竿にヒビも同じく、音に影響するので場合によってはすぐに使えなくなる場合もあるので要注意です。
ちなみに、写真の三味線はオーダーメイドでデザインしてもらった方の三味線です。とてもカッコ良いですね!!
後々まで考える場合のポイント
以下は買った三味線を永く使っていきたいという場合に、プラスαとして検討するポイントです。
棹の木材の種類
三味線の場合、竿に使用する木材は花林、紫檀、紅木などがあります。
それぞれで特色が異なるのですが、花林は初心者の練習用三味線に主に用いられます。紅木は一般的な三味線から高いものまで色々使用されています。紫檀は紅木よりの中間といった感じです。
花林は柔らかく、使用していると棹の面が減ってくる『カンベリ』がしやすいそうです。紫檀や紅木材は硬く、カンベリしづらいという面もあります。
どんな木材の三味線でも良いのですが、一般的には紅木や紫檀を勧められることが多いです。
糸巻きの種類
左がアクリル、右が紅木の糸巻き
糸巻きは『プラスティック、アクリル、象牙、木材(黒檀など)』などがあります。一般的には木材やプラスティック、アクリルですが、まれに象牙の糸巻きが付いるものもあります。
象牙は国際的に見ても取引が禁止されている為、今後流通量増えていくことはない素材です。なので、非常に価値があります。また、象牙は月日が経つことで色が変わり深みが出てきます。永く使ったなという愛着がわきやすい素材です。
木材では、黒檀というとても堅い木材(箏の場合黒檀のものはかなり高いです)を使用しているものもあります。黒檀は堅牢なので、安定した使用感があります。
アクリルは様々な色があり、近年人気が出て来ている素材です。その豊富なバリエーションは、自分の三味線を押すのに一役買っています。オークションなどで三味線を購入して、あとでアクリルの糸巻きだけ買うというのもありです。
その他のポイント(あったら嬉しいけど、なくても大丈夫。そして値段が高騰しやすい)
以下は、なくても全然差し支えないですがあったら嬉しい、けど値段が上がりやすい三味線のポイントです。
彫り
三味線の胴の内部に細かな溝が彫られている場合があります。これを彫りと呼びます。彫りには綾杉彫、子持ち綾杉など色々な種類があります。しかしこの装飾は手間がかかるため、高い三味線が多いです。
彫りには一般的に音をよくする効果があると言われています。細かいところまで気になる方はチェックしても良いポイントです。オークションなどでは「彫りあり」「綾杉」などと書かれています。
写真は『子持ち綾杉』という綾杉彫りのワンランク上の彫りです。
金ホゾ
三味線は分解できるのですが、この分解の継ぎ目の部分を『ホゾ』と呼び、ホゾに金を使用して補してあるものがあります。そういった三味線を『金ホゾ、金ホゾ付き』と呼ぶみたいです。
実際見えない部分ですが、職人の技が詰まっていて、金ホゾの三味線も高くなります。彫りに比べると音や見た目には影響ないので、あまり気にしなくて大丈夫です。
これらを持っている三味線は、たとえ皮破れであっても値段がとても高くなります。
ポイントまとめ
長くなりましたが、以上が津軽三味線を購入する際に気をつけるポイントでした!!
これらを見極めれば自分にあった中棹、太棹三味線にに出会える確率がグッと上がります。また、細棹や地唄用の三味線がほしいという場合もこのポイントから逆に考えれば出会えると思います。
最後のまとめると以下のような感じです。赤は要チェック、青はプラスαなポイントです。
- 棹の種類:太棹(面幅3cm以上目安)
- 東さわり:あり
- 鳩胸かどうか:鳩胸じゃない
- 胴かけの材質:樹脂
- 天神や胴、棹にヒビや割れがないかどうか
- 糸巻きの大きさ:かなり大きい
- バチ皮:四角で面の下の方まで伸びている
- 棹の材質:オススメは紅木
- 糸巻きの材質:なんでも大丈夫
- 彫りや金ホゾはあったら嬉しい、なくても大丈夫
おまけ:本当に色々な三味線がある。
ヤフオクやメルカリなどでは、本当に多く三味線出回っています。完品、皮破れ、ケース付き、バチ付き、9つに分解できる三味線なんていうものもありました。細棹や地唄用の三味線でも欲しいなって思うような美しいものも多くありました。
しかし、これというものを見つけるのは本当に難しいです。太棹と書いてあるけど中棹だったり、津軽と書いてあるのに地唄用だったりと様々です。
結局の所、こういった見極めが大変で敷居が本当に高いなって感じました。楽器を見つけるのがもっと楽だったらもっと気軽に始められるのになって感じますね。
知り合いがいない状態で自分の力だけで探すのはかなり厳しいです!!
私が購入した三味線は、前の使用者様が本当に丁寧にしていたことがわかる楽器でした。
中棹で津軽三味線なんていいのかなという不安もありました。しかし、津軽三味線をやっている人に見せると皆「いいじゃん!!良い買い物したね」と言ってくれて嬉しかったです。そもそも民謡も中棹ですし、あまり気にしなくても良さそうです。
色々書きましたが、自分の予算や体格、インスピレーションにあったものを買うのが一番良さそうです。
なので、あぁ…太棹じゃなかった…間違えちゃった…という人も自信を持って楽器を大切にしてあげてください!!
以上、三味線ビギナーが三味線をオークションで買った時のポイントのお話でした!!
皆さんが三味線を見極める時のポイントなどのご意見をお待ちしております。
今回は津軽三味線でしたが、細棹・中棹の見極めポイントなども嬉しいです!!
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