みなさんはお琴の「調子」という言葉、ご存じですか?
知らなかった方も、聞いたことはあるけど、、という方も、この記事を読み終わるころにはきっと「調子」という言葉とそれがなんなのかわかるはず!

「調子」というのは邦楽特有の概念であり同じ弦楽器でもピアノにはない言葉です。お琴は基本的には13本の弦を持つ楽器なので、13種類の音が出ます。13種類と言っても、ピアノのように弦によって出る音が固定されていたら全部の曲をその13音でつくらなければいけなくなってしまいます。そうすると曲の幅はとんでもなく狭そうです。そこで「調子」の出番です!
「調子」とは13本の弦の音の並びのパターンのことです。
「調子」ごとに一の弦(1番奥にある糸)はこの音、二の弦(2番目に奥にある糸)はこの音、というのが決まっています。
お琴は弦楽器でも単純なつくりをしているので、琴柱と呼ばれる、お琴についている柱の位置を変えることで弦の長さを調節し簡単に音の高低を変えることができます。物理でやる周波数の変え方の概念ですね。筝曲はそれぞれの弦の音の高低を変え、「調子」を変えることによって曲ごとに全く異なる音を使用した曲づくりが可能なんです!
「調子」は要はどの弦にどの音を当てるか、というのを並び替えただけなので何通りもあります。その膨大なパターンの中でも、筝曲でよく使われるので名前までついちゃうような「調子」があります。例を挙げると、平調子、雲井調子、中空調子などなど。筝曲の調子はその曲の冒頭か終わりのページに書いてあることが多いのですが、有名な調子になると、一の弦がこの音、二の弦が、、とそれぞれ書くのではなく、単に平調子、って書いてあることもしばしば、、。音のパターンがわからないと、あれ?なんだっけ?となってググることになります。(自分はよくやっていました、、笑)
有名な調子の例
・平調子
・雲井調子
・中空調子
今回は、調子の中でも特に有名な平調子について学んじゃいましょう!何個も有名な調子の音のパターンを覚えるとなると大変ですが、一個くらいなら案外いけちゃいます。平調子を知ると、ちょっと通になれちゃいますよ!
平調子は
弦 一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 斗 為 巾
音 D G A B♭ D E♭ G A B♭ D E♭ G A
レ ソ ラ シ♭ レ ミ♭ ソ ラ シ♭レ ミ♭ソ ラ
となっています(一と五の音は同じ音)。これ気づきましたか?途中から同じパターンになっていますよね!つまり途中からオクターブ高いだけで同じ音のパターンになっている場所があるんです!
お琴には「合わせ爪」という奏法があります。これはオクターブの音を元の音と同時に弾く奏法なのですが、合わせ爪だけではなく、筝曲の中にはオクターブの音を活用したメロディーがたくさん出てきます!他の調子もこんな風に特定の弦と特定の弦がオクターブになっていることが多いです。聞きなれると意外と簡単に覚えられますよ。
ちなみに琴柱を動かしてその曲の調子に合わせることを調弦する、といいます。調弦する際には、専用のチューナーや、音を聞き取りそれが何の音か判別してくれるスマホアプリなどを使いましょう。
平調子がわかれば、筝曲でもすっと調子が分かって弾き始められる曲が増えるはずです。単純に平調子の曲も多いですし、平調子からここの弦だけ変える、という風にかいてある曲もたくさんあります。
ここで新しい筝曲を弾き始めるときにもう一つ役に立ちそうな「一は五の乙」という言葉を紹介します!「いちはごのおつ」と読むこの言葉は、「一の弦の音を元の調子から1オクターブ下げる」という意味です。平調子に「一は五の乙」と書いてあったら、一の音を五と同じ音ではなく一オクターブ低いレ(D)にするという意味です。
おまけ
「調子変え」についても紹介して終わりたいと思います。先ほど書いた通り、琴は基本的には13個しか音が出ません。奏法の工夫によってある程度はバリエーションを出せるのですが、曲によってはそれでは満足できず、「調子変え」をする曲があります。
「調子変え」は名前の通り、曲の冒頭から使われていた調子の音のパターンを曲の途中で変えること。よくある例としてはオクターブになっていた2つの弦を両方半音上げる、などですね。そこで問題になってくるのは演奏をしながら柱を移動させるので、どうやって正確に調子変えをするか。もちろんどの辺に柱を置くとどの音になるか把握してらっしゃる方もいらっしゃいますが、自分はお琴に印をつけることが多いです。移動する位置と戻す位置にあらかじめ赤鉛筆などで観客席に目立たない程度で弦を塗って印をつけておきます。そうすれば曲中迷うことなく調子変えができるという寸法です。ちなみに赤鉛筆で塗った弦は布などで擦れば簡単に落ちるのでその点も心配ありません。
ということで、余談もはさみつつ、調子について紹介しました!調子がわかると、新しい曲に取り組むハードルがぐっと下がると思います。ぜひ色んな曲にチャレンジしてみてください~!!

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