《プロポス》ピアノ弾き語りシンガーソングライターの私が、なぜ三味線で海外公演を目指すにいたったか

なつみゆずinパリ propos

はじめまして! 日本の粋と風流を歌う三味線弾き語りシンガーソングライター

なつみゆずです。

主に海外向けに、三味線でオリジナル曲や日本の歌を演奏する活動をしています。

 

実は私はもともと、邦楽界出身ではありません。

 

子どもの頃からピアノやボーカルを習っていて、高校では演劇部、大学では劇団やアカペラバンドで活動。2013年にピアノ弾き語りシンガーソングライターとしてソロ活動を開始。以来、ライブハウスやイベントに出演したり、現在はラジオ番組のMCなどもしています。(かわさきFMにて毎月第2金曜日19:00~看板番組放送中!)

 

今回は自己紹介を兼ねてそんな私がなぜ、三味線で海外公演を目指すことになったのか、書きたいと思います。

 

2014年、ニューヨーク公演のチャンスを手に入れる

転機が訪れたのは2014年。ソロ活動2年目の春でした。

当時はまだ三味線は習っておらず海外に行く予定も無かったのですが、日本文化が好きという気持ちだけは強く、日本の風物をテーマにした曲を書き、着物を着てピアノで弾き語りをしていました。当時の私はシンガーソングライターとしては駆け出しだったので、東京で月1回程度のライブをしながら細々と活動していました。

 

そんな私の前に現れたのが、アメリカのニューヨークからやってきた、ヒップホップ・アーティストのアキム・ファンクブッダ氏

 

日本とアメリカの文化交流事業で、「日米芸術家交換プログラム」という事業があります。アメリカの芸術家を年間5人、日本に招いて研究発表を行うものです。アキム氏は当時、2014年のアメリカ代表として日本に3ヶ月間滞在していました。

アキム氏はヒップホップの世界でとても有名なアーティストで、ここ10年ほどはニューヨークを拠点に、アジアの民俗芸能とニューヨークの現代カルチャーを融合させた舞台制作に取り組んでいます。

2018年7月、ニューヨークでの作品制作

2018年7月、ニューヨークでの作品制作の様子。

 

そのアキム氏が「芸術家交換プログラム」の成果として東京で発表したのが、「3ヶ月間滞在してたまたま出会った日本のアーティストたちと舞台を作る」というもの。私もキーボードで出演することに。5月末の公演には約30人の日本人アーティストが参加し、数百人の観客が集まりました。その時の参加アーティストでは、ビートボクサーのAfraさん、茶道家の松村宗亮さんなどが有名です。

 

この公演が私にとっての転機でした。30人の日本人アーティストの中には海外経験のある人が多くいて、「芸術をするなら一度はニューヨークへ行ったほうが良い」と言われ、ニューヨークに興味をもちました。また、アキム氏から「君はニューヨークへ来れば絶対にウケる。うちのスタジオに泊まっていいから一度ニューヨークへおいで」と言われたのが決め手でした。

 

よし、ニューヨークへ行こう。

 

2015年の2月、こうして私の初めての海外公演がニューヨークで実現します。

 

(余談ですが、私とアキム氏が出会ったきっかけは、私の演奏が目に留まったわけではなく、カフェでmacbookの電源ケーブルを貸したこと。知らない黒人のお兄さんがあまりにも熱心に話しかけてくるので、新手のナンパだと思ってとてもぞんざいに扱ってしまいました・・・。)

 

ニューヨーク公演は大成功!でも・・・

初めてのニューヨーク公演は大成功。着物を着て日本語でキーボードを弾き語りするパフォーマンスが、想像以上にアメリカの人たちに評判が良く、確かな手応えを感じました。

ただ・・・

自分の音楽が受け入れられて嬉しかった以上に衝撃的だったのが

 

アメリカ人の日本文化に対する激しい勘違い!!

 

アメリカ人の勘違いがすごい。

「今でも忍者がいる」は冗談としても、日本に旅行したら東京駅に降り立った瞬間に舞妓さんがホームでスマホをいじっている、くらいには普通に思っています。嘘かと思うかもしれませんがアメリカには「着物を着たら顔は白塗りが当たり前」と信じている人が相当数います

 

また、アキムさんの紹介で世界トップクラスの音楽関係者ともたくさんお会いしたのですが、インドのCDを手に「I love Japan」と言われたときはどうしようかと思いました。アメリカ人にとっては日本から中東諸国まで、すべてまとめてアジアなんです。

 

この人たちの勘違いを正したい。「違うんだ!」って言いたい。

 

しかしそこで私は気付いたのです。

私自身が違いを説明できるほど、日本の文化を知らないことに。

 

日本人のミュージシャンとして、まず日本の音楽をちゃんと勉強しよう。

ニューヨークで私はそう決意しました。

 

三味線を選んだワケは、飛行機に持ち込めるから!

こうして知識ゼロからgoogle検索を駆使し、和楽器について調べ始めた私。

 

私はシンガーソングライターなので、弾きながら歌える楽器であることは必須。また最終目標はアメリカ人に日本文化を知ってもらうことなので、飛行機に載せられる楽器。まず思いつくのは箏だったのですが、飛行機で持ち運ぶのは大変そう・・・。

さらに調べた私はある有力情報を手に入れます。

三味線は分解して飛行機に機内持ち込みできる!!

 

三味線は分解できます。

一般にはあまり知られていませんが三味線は分解できます。

棹に継ぎ目があり、継ぎ目からスポッと抜けるようになっているのです。

三味線を分解してドヤ顏のゆず

分解した三味線は、機内持ち込みサイズのスーツケースに収まります。

 

これだ!!!

 

こうして私は「分解して飛行機に持ち込めるから」という理由で三味線を始めました。

 

意外と初心者に優しかった三味線界

とはいえ初心者の私。まずは先生について基礎を習いたいのですが、邦楽って流派とか家元制度とか、厳しそうでなんだか恐い・・・。

 

またもやgoogleを駆使して、優しそうな三味線教室を調べました。それで最初に門を叩いたのが神保町の音福というお店。ここでは3ヶ月ほど、三味線の基礎と端唄を教わりました。

その後紆余曲折を経て、現在は津軽三味線を学んでいます。

 

厳しいイメージがあった三味線の世界ですが、やってみると意外と初心者に優しく、新しいスタイルで演奏することに関して寛容な人も多いです。「厳しい伝統芸能」というイメージばかりが先行し、後継者が減っていく邦楽界。外から参入する人がむしろ歓迎される雰囲気すらあります。

 

2018年春 満を持してアメリカツアーへ!

日本で三味線を集中特訓した私。2018年春、アメリカ人の勘違いを正すべく「アメリカ三味線ツアー」に挑戦!

 

201853日~712日の日程で、カリフォルニア・ニューヨーク・ボストンを回り、 カフェやライブハウス、野外フェスなどで演奏しました。

なつみゆずinカリフォルニア

 

肝心のアメリカ人の反応ですが、「日本へ行ったら忍者に会いたい!」と目をキラキラさせて語っちゃうくらい日本好きなアメリカの皆さん。本物の和楽器を観てたいへん喜んでくれました。また、ニューヨークの郊外では全然日本のことを知らないお爺ちゃん、お婆ちゃんたちの前で演奏する機会もあり、「こんな遠い国の音楽が地元で聴けるなんて!」と涙を流してくださったのが印象に残っています。

 

このアメリカツアー以降、「世界のもっといろんな場所の人に、日本を知ってもらいたい!」と思うようになり、いくつかの海外イベントからお声がけいただいたこともあって、2018年夏~2019年夏の約1年でフィリピン・インドネシア・シンガポール・タイ・マレーシア・香港・セルビア・フランスの8か国で演奏しました。特に今年7月にフランスで出演したジャパンエキスポは4日間で30万人近くが来場し、大変な熱気でした。日本の皆さんが思うより、海外では日本が注目されています!

 

これからよろしくお願いします。

今後のなつみゆずの記事では、海外演奏活動中の出来事や、海外の和楽器事情、和楽器を使った作曲などについて書いていく予定です。「これについて書いてほしい!」などご意見・ご質問があれば、コメント欄に書いていただけたら嬉しいです♪

コメント

トップへ戻る
タイトルとURLをコピーしました