みなさんこんにちは。
今回は箏の流派について解説していきます。
箏を弾こうと思っても、弾き方や作法は流派によって違うもの。
武術や剣術と同じように、箏にも流派があります。
箏についてより深く理解できるようご紹介させていただきますので、ぜひご覧ください!!
箏の流派は大きく2つに分けられる!
現在主流となっている箏の流派には、生田流と山田流があります。
これらの箏曲の始祖とされるのが、江戸初期に活躍した箏曲家・八橋検校(やつはしけんぎょう)。
八橋検校は、筑紫箏を作り出した賢順の弟子にあたる法水から筑紫箏を学ぶこととなります。
そこで筑紫箏をもとにしつつも、より庶民的かつ芸術的な曲を作って人気を博しました。
この流れを汲んだ生田検校が流祖となって生まれた流派、それが生田流です。
生田流と山田流はここが違う!
生田流と山田流で違う点① 爪の形
一番の違いはやはり爪の形ですね。
四角の形状をしている角爪は生田流、先端に向けて尖る山のような形状の丸爪は山田流で使います。
実際に弾く際は、生田流は角爪の角ばっている端の部分、山田流は山の先端部分で絃を弾いて弾きます。
爪の形が違うと、同じ曲でも弾き方が違うのがおもしろいですね。
演奏を観る機会があれば、弾き方にも注目してみてくださいね。
生田流と山田流で違う点② 構える向き
爪は近くで見ないと違いがわからないかもしれませんが、パッと見てわかる違いがあります。
ひと目でわかる違い、それはずばり箏を前にして構える際の向き(姿勢)。
箏に対して斜めに構えているなら生田流、箏に対して正面に構えているなら山田流です。
なぜ構える向きが斜めと正面の2種類あるかというと、爪によって弾きやすい角度が違うからなんですね。
角爪で弾く生田流は、爪の端の部分で弾きやすいように斜めに構えます。
それに対して丸爪の山田流は、爪の真ん中先端部分で弾きやすいから正面に構えるというわけです。
試しに爪と構え方の組み合わせを逆にしてみてください。
恐らく弾きづらいかと思います。
生田流と山田流で違う点③ 曲のジャンル
扱っている曲のジャンルでも、両派の違いが見られます。
生田流は古典曲に加え、現代曲も多数作曲されている傾向があります。
庶民的かつ芸術的な曲を作っていた箏曲家、八橋検校の名残が残っているのかもしれませんね。
「この音とまれ!」でメインで扱われているのもこの生田流。
龍星群などの格好良い作中曲も、生田流で演奏されていました。
その反面、山田流の曲には古典曲の中でも「歌もの」が多い傾向があります。
『竹生島』などがその例ですね。
箏の音色を重視するものを「手事もの」、声を出して聴かせる歌を重視するものを「歌もの」と呼びます。
音色が華やかで物語性があるのも山田流の特徴として広く知られています。
その他の流派の紹介!
箏曲の流派は、大きく『生田流』と『山田流』2つに分かれます。
しかし、それぞれの流派は、さらにいろいろな会派(社中)に分かれています。
そんな中から有名なものをご紹介します。
沢井箏曲院
生田流の中でさらに分かれている流派のひとつとして、「沢井箏曲院」をご紹介します。
1979年、箏曲家・作曲家の沢井忠夫によって沢井箏曲院が設立されました。
高校時代に作曲をはじめ、大学時代からは今までの邦楽ジャンルにとらわれない新しい時代の曲作りをはじめた彼。
そんな彼に「新しい風」を感じて集まった演奏者や聴衆に支持され、「沢井箏曲院」という流派が生まれることとなりました。
沢井忠夫の逝去後は、長男である沢井比河流が後を継いで現在も独自の音楽性を追求しています。
『夢の輪』や『土声』など、現代の若い演奏者が聴いて憧れる曲も多いですね。
沢井箏曲院について、詳しくはこちらをご覧ください。
宮城会
もうひとつ、生田流から派生した流派に「宮城会」があります。
宮城会の”宮城”は、作曲家 兼 箏曲家である宮城道雄から取られています。
1951年(昭和26年)、「宮城会」が結成されました。
これは宮城道雄を師と仰ぐ人たちが集まり、互いに演奏技術の向上と親睦を図る目的でつくられたものです。
宮城道雄作曲の作品には、『水の変態』や『春の海』など聴く人を虜にする魅力があります。
宮城会の活躍は、宮城箏曲の普及だけではありません。
日本音楽の継承発展のリ-ダ-としても活動しています。
宮城会について、詳しくはこちらをご覧ください。
まとめ:結局流派はどう選ぶ!?
これまで生田流や山田流、沢井箏曲院や宮城会についてご紹介してきましたが、いかがでしょうか?
「違いはなんとなくわかったけど、結局どれがいいの?」という声が聞こえてきそうですね(笑)
結論から言うと、流派に正解はありません。
どの流派が優れているかではなく、どの流派が自分に合っているかという基準で選びましょう。
こだわりがないのであれば、与えられた流派でどう活かしていくかを考えた方が良いですね。
中には、自分が習う先生に合わせて流派を決めるという人も多くいます。
また、高校や大学で箏の部活やサークルに入る場合、基本的にはそこで使われている流派を選択することになります。
僕も大学から箏をはじめましたが、当時は流派が複数あることも知らず自動的に山田流の爪をはめることになりました。
だからといって弾きにくいということもなく、慣れればどちらでもいいと思っています。
箏を始める前はたくさんの迷いがあると思いますが、この記事が箏を始める際の指標として役立てますと幸いです。
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