今回は、二代目山本邦山先生が山本真山先生だった頃に作曲された曲「雪間草」をご紹介します。春の訪れを音で描く、とても美しい一曲です。
雪間草の作曲者
作曲者は二代目山本邦山先生です。
雪間草は山本邦山先生がまだ山本真山先生だった頃に作曲されました。
真山先生名義では尺八協奏曲を始め、光露や蒼天などの曲を作曲されています。
雪間草の構成
- 構成:三章構成
- パート: 箏2・十七絃1・尺八2 (CD収録では打楽器も)
- 演奏時間:10~12分(一章:3分30秒、二章:2分30秒、三章:4分40秒)
コトバ『雪間草』とは
雪間草とは春の季語を表す言葉です。
雪が溶け、雪の合間から草がのぞく様子を表しています。
雪解けは春の訪れということから、雪とつきますが春の季語なんですね。
雪間草の曲調
一章「雪の晴れ間」
一章は箏が冒頭から美しい旋律を奏でます。
冬の間で、「草が雪に埋もれているような」印象があり、美しい曲調ながらも淡々と進みます。
冒頭の箏の音色で、雪の広がる大地という情景が構築されていくイメージを受けました。
尺八が加わり、箏の音色も変わると天候が変わり、一章のテーマである「雪の晴れ間」にパッと変わります。
しかしながら春はまだ遠く、一つ一つの音から待つというよう印象を受けます。
二章「目覚め」
二章の冒頭は、目覚めという名の通りゆったりとしながらも、目が徐々に冴えていくような音程とメロディです。「積もった雪が薄くなり、陽の光や空気が以前よりも地面や草に届く」といった印象です。
一章よりも尺八がメインで、高音域の音が多いです。
しかし、その音は耳にささる訳ではなく、柔らかく響きます。
また、CDでは打楽器から始まります。
この、打楽器の音もまた目覚めを連想させ、さながら鼓動のような印象です。
一章と同じく、スローでしっとりとしているのですが、一章とは異なるイメージがスしっかりと描かれています。
三章「春めく」
最終章は、とても軽快で且つ明るさを感じる章になっています。
春の暖かさから、ついに「雪の合間から草が現れ、輝きを見せる」というイメージが湧きます。
一章二章のゆったりとした曲調が、三章の軽快さやインパクトを相乗的に向上させています。
最終章では、前章以上に全ての楽器が合わさり、喜びを表現しています。
特に箏の美しさと打楽器の小気味好い音は、とても印象的で耳に残ります。
素晴らしい一体感が最終章の周縁まで包み込んでくれます。
まとめ:雪間草、音や構成がとても素晴らしく、一度は聴いてほしい曲です
雪間草、間の取り方や静と動、ゆったりした曲の中でもこの美しさは随一かなと思います。曲・章のイメージもしやすい曲です。
演奏動画がないのが残念なのですが、曲自体は楽器編成も揃えやすくいですし、章立てされているので練習・演奏もしやすいのではないでしょうか?
CDなどで一度は聴いてほしい曲です。
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