今回は『尺八二重奏曲第四番』をご紹介いたします。
二本の尺八が奏でる妖しくも美しい旋律の曲です。
『尺八二重奏曲第四番』の作曲者
作曲者は人間国宝『初代 山本邦山』氏です。
数多く尺八の名曲を残し、偉大な活躍をされた尺八界のレジェンドです。
『尺八二重奏曲第四番』は1976年、尺八二重奏曲第3番 對動の発表から5年後、邦山氏が30代後半くらいに作曲された曲です。
『尺八二重奏曲第四番』の構成
- パート :2パート
- 演奏時間:8~10分前後
『尺八二重奏曲第四番』の曲調
『尺八二重奏曲第四番』は第1章~第3章の三部構成になっている曲です。
尺八二重奏曲第三番『對動』はアップテンポで明るめの曲調でしたが、『尺八二重奏曲第四番』は二本の尺八のハーモニーが妖しく光るような曲調です。
第1章 〜二本の尺八が冒頭から細かくリズムを刻む章〜
尺八二重奏曲第四番、第1章が一番難しいかもしれません…
出だしからかなり音程の難しい音で、二本の尺八がハーモニーを奏でます。二本それぞれが独立しながらも重なりあっています。
それでいてなおかつ細かい音が多いです。中盤には「タタタァ〜ラッタァ〜ラタァ〜ラ」という感じの箇所がでてくるのですが、伸びつつもキレがあり難しいですが印象的なテンポです。
勢いがあるからこそ、少しのずれが命取りになる…それを教えてくれるのもこの章です。
第2章 〜妖しさ高まりも美しき章〜
第2章はスローテンポで揺れ動くような妖しさを持った章です。
この章のスローテンポ、ロングトーンは、尺八の美しさよりも尺八の持つ不思議な音の魅力を推している感じです。
ダウナーすぎず、でも妖しい。妖しさの中にも緩急があり、次はどうなるのだろうとお客さんをゾクゾクさせてくれます。
第1章とのテンポのギャップを受け止め、勢いで吹き切らずしっかりと表現できるかが大切になります。
第3章 〜忍びよる妖しさと尺八の美しさが聴こえる章〜
第3章は、第2章で増した妖しさが更に寄ってくるような章です。
章の出だしでは、二人では8分音符を二人で刻みます。裏拍のパートの人は大変なのですが、これが忍び寄る感マックスな感じです。
そこを抜けると、一方が上がり、一方は下がり、押しては寄せる波のような感じで進んでいきます。メインパートの裏で鳴らすベース音のリフレインがかなり難しく、苦戦します…しかしながらはまった時の感動は一層です。
ジワジワと忍び寄り、最後にガッと上がって潔く終わる締めくくりの章です。
『尺八二重奏曲第四番』の難易度
『尺八二重奏曲第四番』の難易度は相当高いです。
細かい音に加え、不安定なメリ音が多様されている為です。そして、メリ音でハーモニーを奏でなければいけないので、音程が微妙にずれただけでもこの絶妙な美しい音でなくなってしまいます。
まとめ:尺八ってこんな演奏もできるんだ!!それを教えてくれる一曲
尺八二重奏曲第四番、妖しくも尺八の魅力がたくさん詰まった名曲です。他の曲にはない不思議な魅力があります。
レベルの高さゆえ、敬遠されやすいのかもしれませんが、取り組むことで尺八の新たな魅力に演奏者もお客さんも気づける素敵な曲です。今までにないものをやりたい方は取り組んでみてはいかがでしょうか。
それでは、楽しい和楽器ライフをお過ごしくださいませ。
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