プロの声優と和楽器による朗読劇を披露する団体「声劇和楽団」が、2019年9月14日に群馬県たくみの里にて行われた催し「花と緑のぐんまづくり in みなかみ」に出演されました!!イベントでは古典DAYと呼ばれるステージイベントにて『耳なし芳一』が披露されました。
先日、都内の紀尾井ホールにて行われた姫ものがたり(和楽器イベント.comにてレポートを掲載中)とは全く異なる怪談というジャンルを披露した声劇和楽団。そのバラエティの豊かさはとても素晴らしいです。
■声劇和楽団の姫ものがたりのレポートはこちら■
本日はそんな「花と緑のぐんまづくり in みなかみ」での声劇和楽団の“老若男女が思わず足を止めて聞き入る、迫力の演技と圧巻の演奏”の様子を臨場感溢れるレポートでお届けします!!
声劇和楽団 耳なし芳一 @「花と緑のぐんまづくりinみなかみ」
本物の音とプロの演技により、会場全体が闇夜の世界に飲みこまれたようだった。
9月14日(土)、群馬県みなかみ町 たくみの里にて開催されている『ふるさとキラキラフェスティバル「花と緑のぐんまづくり 2019 in みなかみ」のメインステージ古典DAYには声劇和楽団が登場した。
天気にも恵まれ、青空の気持ち良い野外の会場ではこの日「詩吟」「獅子舞」などのステージが行われており、声劇和楽団はその日のラストステージを務めた。プロ集団である声劇和楽団の圧巻のパフォーマンスには、どんな人も思わず足を止めて、ステージにくぎ付けになっていた。
今回の演目は小泉八雲が原作の「耳なし芳一」。有名な怪談話である。
阿弥陀寺に住む盲目の琵琶法師 芳一は大層な琵琶の名手。特に『平家物語』の弾き語りは【鬼神も涙を流す】と言われるほどである。ある夜、寺の和尚の留守中に突然どこからともなく武者が現れる。芳一は武者に頼まれ「高貴な姫君」に琵琶を弾きに行くが、目の見えない芳一にはそれが誰なのかよくわからなかった。しかし、実はそれは滅びた平家の怨霊であった・・・。
琵琶の名手である芳一の演奏は、もちろん和楽器演奏者の一人久保田晶子さんが実際にその場で弾き語りを行った。物語のなかの琵琶の演奏を見事に表現していた。
琵琶の音と久保田さんの声が聴こえた瞬間、会場は平家の亡霊たちに同調したかのように感動の空気に包まれていた。
また、風の音や、武者の重々しい足跡なども尺八や箏を使って表現していた。まさに声劇和楽団ならではのオリジナルの音の使い方だろう。
そして、最後の芳一の耳がなくなってしまうシーンは三つの和楽器の大迫力の演奏でクライマックスを彩っていた。
朗読陣の演技
盲目の琵琶法師 芳一を演じていたのは声劇和楽団の主催である堀江一眞さん。
儚げで、繊細な役どころを見事に好演していた。第一声が芳一の台詞から始まるのだが、まさにその一言で会場が一気にこの物語の闇夜の世界に引き込まれたように感じた。
物語終盤の武者に耳を取られてしまうシーンでは、思わず目と耳を塞ぎたくなるような阿鼻叫喚の演技が素晴らしかった。
また、この演目で重要になる武者役には、今回が声劇和楽団に初参加のゼットン高岡さん。
序盤の登場シーンから、ゼットン高岡さん演じる武者の低い声は広い会場中に響き渡り、恐ろしさを倍増させていた。
「芳一、芳一」と探し回る声は、今でも耳から離れない恐怖の声になっている。
(左:芳一 堀江一眞 右:武者 ゼットン高岡)
初の地方・野外公演、そして今後の活動
2013年に旗揚げして以来、都内のホールやイベント会場での公演が行われているが、地方への遠征は初の試み。
声劇和楽団は、声劇和楽団を知らない人や、いつもは遠くて足を運ぶことができない人にも、見て知ってもらえるような機会を探していた。このイベントはまさにそれを叶えるチャンスのステージになった。
観た人たちからは「初めて見られて良かった」という声も多くあがっていた。
また、新たな挑戦として『野外ステージ』でのパフォーマンスにも挑むことになった。
野外という環境でも、和楽器の音は多くの人を魅了することができることを改めて感じた舞台だった。
今回の公演では、さらに和楽器×朗読の様々な可能性を感じることもできた。
声劇和楽団の今後の活動に目が離せない!!
声劇和楽団のこれからが一層楽しみです!!
地方公演を成功させ、これから声劇和楽団の活動は一層活発になりそうです。様々な声優さんや和楽器奏者の方による可能性溢れる朗読劇、とても楽しみですね!!
■イベント情報■
イベント概要 | ふるさとキラキラフェスティバル 「花と緑のぐんまづくり 2019 in みなかみ」 メインステージ 古典DAY |
日時 | 2019年9月14日(土) |
場所 | 群馬県 みなかみ町 たくみの里 |
演目 | 耳なし芳一 |
キャスト | <朗読> 神咲茉希、ゼットン高岡、有沢俊浩、堀江一眞<演奏> 久保田晶子(琵琶)、佐藤將山(尺八)、田中奈央一(箏・三味線) |
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