北陸・富山で三味線教室と三味線屋をやってます。
東京でもない、京都でもない、地方だからこそ、できることがあります。
はじめての人もすぐに三味線が弾ける譜本「超かんたんしゃみせん」の内容を中心に、
三味線がはじめての人も簡単に、
また、三味線に触れたことがある人も、これまで聞いたことのないはじめての切り口で
三味線を楽しく弾く演奏法をお伝えします。
これまでにない視点で描いたはじめての三味線ハウツー・レシピです。
大好きな三味線に「ダメだし」してみた
2013年の開業時、まず僕がやったのは、これまでの三味線を否定してみることでした。
なぜなら、これまで通りのやり方が正しければ、三味線をとりまく当時の惨状は招いてないから。
東京でもない、京都でもない、北陸・富山で「しゃみせん楽家」を開業。
こんな時代に…と言われながら、脱サラして新規開業&実店舗出店。
当時、三味線人口は尻すぼみ。
よくやるね、三味線屋。。。。
家族や仲間のみならず、関係者や同業者からも同情される始末。
好きなことを仕事にしよう、と、前職を投げ打って開業してはみたけれど、
最初にやる作業は、その好きなこと、つまり、三味線を否定することでした。
伝統芸能、伝統楽器…そんな「伝統」という尊い2文字に、
三味線屋も三味線教室は甘えすぎてはいないか。
子どもの頃から三味線に親しんでいる自分にとって、三味線のいいところを挙げるとキリがありません。
じゃあ、悪いところは?
重い、長い、調弦が困難、維持費が高い、バランスが悪い…
愛は盲目…そんな悪い、というか三味線の短所も、
それまで当たり前と思って、盲目的に受け入れてたんですね。
その悪いところを受けとめ、改善し、自ら企画、立案、制作。
開業翌年の2014年からネット販売を開始したのが、
段ボールをボディーに用いた「しゃみせんBOX」です。
大好きな三味線に「ダメ出し」し、
「はじめての」人も気軽に手にとってもらいたいという願いから生まれた、
業界初の簡易三味線です。
かみのしゃみせんSHABO
その直後、東京発の三味線番組「本條秀太郎のシャミ専科」で、
「しゃみせんBOX」を取り上げていただき、
東京スカイツリーの収録現場で、スタジオのゲストとともに
しゃみせんBOXで「東京音頭」を合奏。
富山の薬売りならぬ、富山の三味線売りとなって、
三味線の本場・東京に受け入れていただいたことを実感した出来事でした。
本條秀太郎のシャミ専科(2015年6月)
その後、東京の職人らが簡易三味線の分野で追随してきたところをみると、
いち地方発の新規三味線ショップが発したメッセージが、
三味線ファンや関係者に届いているという手応えを感じる一方で、
ある疑問が頭をもたげます。
簡易三味線がにわかに活気づいたところで、
本当に、三味線を弾く楽しみは広がっているのだろうか?
「しゃみせんBOX」はじめ、簡易三味線を手にした人たちは、
本当に、楽しく三味線を弾いているのだろうか?
そんなテーマに、三味線の「弾き方」という観点から取り組み、
現在、三味線ビギナーのみならず、三味線ファンのみなさんに、
「超かんたんしゃみせん」というハウツーを発信するに至ります。
超かんたんしゃみせん譜(2018年7月発売)
調弦の仕方は…? ぜ〜んぶ後まわし!
知ってる人はすでに知っている、
知らない人は(しばらく)知らなくていいい!のが、三味線のチューニング(と思う)。
「三味線は、チューニングのことを調子(をあわせる)といいます」とか、
「調弦には本調子と二上りと、さらには三下り…」
なんて話をビギナーにしてしまうのが、三味線指導の常套手段。
伝統を重んじるばかりに、ついつい、難しい話をしちゃうんだよね。
そんな話は全部後まわしにして、まずは弾いてみようよ!というのが、超かんたんしゃみせん。
だって、楽器なんだもの。音出してなんぼ、でしょ?
そのうち三味線が楽しくなってきたら、
音が狂って気味悪いな~という気持ちが、自然と湧いてくるものなのです。
そういう自発的な思いがあってはじめて、調弦のことも知りたいな~と思うわけで、
その情報発信&指導のタイミングを見極めるのが、指導者の役割なのです(キッパリ)!
ということで「超かんたんしゃみせん」では、最初は「ドソド」にチューニング。「四本二上り」なんていう呼び名は、まあ、そのうちにわかるでしょうから。
超かんたんしゃみせん譜より
自分でチューニングする人は、迷わず「チューナー」を。
クリップ式チューナーを、天神にはさんで使うのがオススメ。
そして、三味線の糸は伸びたり縮んだりしてチューニングが狂いやすいから、調弦はコマメに。
糸巻きが穴から抜けないよう、反対側からおさえるなどして、注意して調弦してね。
このあたりのハウツーは、いろんな教本に乗っているから、参考にしてくださいな。
実のところ、しゃみせん楽家では、こんなチューニングの話すら、最初はしません。
なぜなら、一本の糸しか弾かないから。
基本の練習は、一本の糸で充分。
チューニングの話は「余談」でします。
次回からは、チューニング不要? 一本の糸からはじめる、超かんたんしゃみせんのハウツーを詳しくお伝えします。
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