学校で三味線の授業をしていると、子どもたちから教わることが、たくさんあります。前回の投稿でお伝えした、バチのもち方がそのひとつ。
あの出来事のあと、どうしているかというと、学校の授業で子どもたちにバチを持たせるのを、やめました。集中力をより三味線にフォーカスするためです。
「うちわで顔に涼しい風を送るようにして、三味線にいい風を送ってあげてー」と右手を振るのが、学校授業での常套句。
言われた通りに、のびのびと手首を振れば、三味線はいい音で応えてくれます。はじめのうちは、大多数が右手の親指のお腹で弾きます。決して、否定しません。それも、表現のひとつ。優しい音がします。
「人差し指の爪をあててみてー。キレのいい音になるよ」と誘うと、爪による打音に聞き耳を立てながら、子どもたちは音の違いを楽しみます。
自分の指で直に糸と触れあい、うちわを扇ぐように手首を奔放に振って、太鼓=皮を響かせる。バチの使い方の講釈をするより、こんな時間の使い方のほうが有効と思います。
続いて、前回の投稿でお伝えした「ドレミファソラシド」、さらには、「チューリップ」や「かえるのうた」といった簡単な曲を演奏したら、この辺りで1時間目は終了。
はじめて三味線に触れた子たちも、ここまででなんとなく、弾けたような気分になるものです。弾けたような気分になった子どもたちに、問いかけます。
「三味線って、超かんたんでしょ?」
子どもたちの答えは、もちろん、イエス!そう、三味線って、超かんたん、なんです。
もしや、前世代の人々にとっては信じがたい!?このコペルニクス的転回こそが、自分も含めた全日本人に最も求められる発想と思うのです。このことは、海外のEXPOに出店し、三味線の演奏体験をする外国人を見ると痛感します。
先入観のない外国人たちは、溢れんばかりの好奇心で、いともかんたんに、三味線を弾きはじめます。
そうなんです。何度も言いますが、三味線は、超かんたんなんです。
「三味線って、難しい」というステレオタイプなイメージは、平成の時代に捨ててしまいましょう。
諸先輩方に敬意を払い、三味線は本当は難しいと認める(汗)としても、三味線って、超かんたんというイメージこそが、令和の時代に求められる、三味線レッスンの大前提と、勝手に思ってます。
いろんな音階で、もっと弾けた気に!
さて、前回もお伝えしたように、三味線を弾きはじめる前に行うたった一つのことは譜尺を貼るということです。
これによる大きな収穫は、三味線を弾けた気分になることと、三味線って、超かんたんというイメージをつくることです。
「ドレミファソラシド」や簡単な曲だけでなく、次のような音階を弾くことで、さらに三味線が弾けた気分になります。
弾くのは細い糸(三の糸)だけなので、こちらも調弦は不要。三味線の醍醐味が、いよいよ色濃くなります。
それぞれのツボを1回ずつ弾くだけでなく、2~8回ほど弾きながら、それっぽい気分に浸ってみて。ほら、もうすっかり、気分は三味線弾きです。
そろそろ調弦のはなし。
ドレミファソラシドや、いろんな音階を通じて、音程に興味をもったトコロで、ここでようやくチューニングの話。
「本調子」や「二上り」といった難しい話は後回しにして、こんな順番で伝えます。
1)これまで弾いてきた細い糸(三の糸)を「ド」
2)太い糸(一の糸)は三の糸より低い「ド」
3)太い糸で「ドレミファソラシド」を弾く
4)真ん中の糸(二の糸)は、3)で弾いた「ソ」と同じ音
とはいえ、大半の人は、そう簡単に調弦できません。躍起になって調子笛を吹いても、できないものは、できないのです(そのうちできます)。そんな人は、迷わずチューナーを使いましょう。スマホの無料アプリをダウンロードすれば、その場で誰でもチューナーが手に入るご時世。こんな便利なもの、使わない手はないでしょ。最初はチューナー、そのうち調子笛。長い目で見れば、両方使えるほうが、より良いですし。
ドソドにチューニングした三味線で、さて次は、コード演奏にトライ。
ビギナーにもオススメの超かんたんなコードプレイは、次回、詳しくお伝えします。お楽しみにー!
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