皆さんは今までに「ィヨーー ポンッ!」という鼓の音色を耳にしたことはありませんか?
この音色はテレビや歌舞伎のSEとしても聴く機会が多いと思います。しかし、他にはどんな楽器が使われているのだろう?それはどんな形や音がするのだろう?と、御存知無い方も多いと思います。
そこで今回はそんな歌舞伎で使用される和楽器たちの代表例を紹介していきたいと思います!
主な打楽器
大太鼓
胴の両面に牛革を鋲留めした大型の太鼓。胴は欅などの硬い木をくり抜いてつくります。歌舞伎の下座音楽(唄,三味線,鳴り物により構成された様々なBGM)で中心的な役割を果たします。台に乗せて樫の長撥を用いた演奏が多いです。その重低音で様々な効果音などの役割を果たします。
締太鼓
紐で牛革と胴を接着させて、張っている太鼓。紐の締め具合によって音の高低の調節ができます。撥を用いて演奏します。素早い拍子で打つ奏法で駆け抜けるような疾走感を芝居にももたらします。
小鼓
小鼓は砂時計型の両面に革を張ってこれを緒で強く張った太鼓です。緒は、能楽の世界では調緒といい、この緒を締めたり緩めたりすることで音色を調節しながら、左手で小鼓を持ち右肩に担いで、一方を右手で打って演奏します。小鼓、大鼓の起原はインドといわれ、中国を経て雅楽の楽器として伝わりました。また、江戸時代には歌舞伎囃子の主要になって有名になりました。義経千本桜というお芝居でも鍵となる重要な楽器です。
※締太鼓の動画を参照
大鼓
大鼓は小鼓とは対照的に革を熱で乾燥させて、調べ紐できつく締めあげることにより甲高い音を出す楽器です。「大皮」とも呼びます。
奏者の指に合わせ、和紙を糊で貼り重ねてつくる指皮というものを右手の中指と薬指にはめて、左膝に乗せて一方を右手で打ちます。昔はなめし革を指にはめて演奏していたので指皮(ゆびかわ)と呼ぶそうです。
小鼓との掛け合いなどでメリハリを効かし、松羽目ものといわれる能を模した作品等で空気を引き締めて緊張感を高める効果があります。
※締太鼓の動画を参照
主な弦楽器
三味線
三味線は猫または犬の皮を張った四角い胴に棹を差し込んだ弦楽器です。弦数は3本で撥を用いて演奏します。16世紀半ばに琉球から伝来した三線を改造して完成させたものです(諸説あります)。撥は琵琶からヒントを得たといわれています。歌舞伎の様々な伴奏に広く用いられています。また棹の太さも、細棹、中棹、太棹とバリエーションもあり、太くなればなるほど力強い音の響きとなります。
箏(琴)
箏は長さは約180cmほどで、13本の弦が張られています。左手で弦を押さえ、右手の指に爪(先が四角いものや、丸い山形のもの)を嵌めて弦を弾いて演奏します。奈良時代に伝わった楽器です。歌舞伎では、下座を中心に使用されます。また『壇浦兜軍記』などの一部の作品では、女方の俳優が舞台で実際に演奏することもあります。
箏は歌舞伎以外でも様々な歴史があります。箏について詳しく知りたい方はこちらの記事も合わせてご覧ください。
胡弓
三味線と形は似ていますが、馬の尻尾などを張った弓を用いる擦弦楽器です。悲壮感を漂わせる音色を奏で、芝居においても、切ないシーンで演奏される場合が多い楽器です。この楽器も、『壇浦兜軍記』という作品の中で、実際に舞台上で演奏されます。
主な管楽器
篠笛
篠笛は女竹(細い篠竹)に指孔をあけ、管内に漆を塗った楽器です。
低い音程の物から高い音程の物まで種類があり歌舞伎では12本もの種類を曲に合わせて使い分けます。
お祭りの場面などで軽快な音を発揮します。
能管
能管は篠笛と異なり構造が複雑になっており、吹き口と指孔の間にノドと呼ばれる部分があり、その中に更に細い管がありそこで息を一旦溜めることにより鋭く甲高い音を出す楽器です。
全体に細く紐状に裂いた桜の木の皮を巻き付けてあり上から漆が塗られています。厳かなシーンや緊張感のある場面で力を発揮します。
まとめ
これまでに代表的な和楽器をいくつか紹介しましたが、他にもまだまだ歌舞伎で使用される和楽器はあります。和楽器は歌舞伎の芝居と共に寄り添い表現の幅、音楽的な幅を拡げました。今もなお歌舞伎で新作も創らているので、そのときに既存の音楽を当てはめたり新しい音楽が産まれたりと常に進化を遂げているのです!
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