【津軽五大民謡シリーズ】 #1『津軽じょんから節』〜キングオブ津軽民謡と呼ばれる一曲〜

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曲紹介
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今回は津軽三味線を弾く人であれば誰もが必ず通る、津軽民謡の王様とも呼べる曲「津軽じょんから節」を紹介します!

 

津軽じょんから節は、津軽よされ節、津軽小原節、津軽あいや節、津軽三下りと並び、津軽五大民謡の一つになっています。

津軽五大民謡とは?
津軽じょんから節 ⬅️ 今回はこちら!!
津軽よされ節
津軽小原節
津軽あいや節
軽三下り

 

全国各地で開催される津軽三味線の全国大会では、じょんから節が課題曲とされることも多く、曲弾き※1といえば専らこの曲が演奏されます。

初心者向けに合奏曲として作られた六段から、即興的に演奏される高難度の曲弾きに至るまで、それぞれの習熟度に合わせて様々な難易度のじょんから節が存在するので、津軽三味線の課題曲として最も適していると言えるでしょう。

 

さてこの津軽じょんから節、一口にじょんから節といっても、実は色んなバージョンがあるのです。津軽じょんから節に限らず五大民謡は時代の変遷とともに旧節、中節、新節とそれぞれ進化していきました。

今回の記事では、津軽じょんから節の各バージョンによって異なる曲調や、個人的ではありますが難易度なども絡めながら紹介していきます。

 

旧節

難易度 ★★★★☆

じょんから節と聞くと豪快なバチさばきを連想する方も多いかもしれませんが、旧節に関しては後ろバチ※2で連打することはほぼなく、津軽民謡らしいダイナミックさはありません

 

そして旧節と言えばまず複雑なリズム!リズムパターンは1種類ではなく5〜7種類ほどあると言われています。

合奏曲として簡素化されいてる旧節は2拍子ものがほとんどですが、唄や曲弾きになると7拍子のバージョンが多くなります。他にも5拍子のものやシャッフル※3のパターンも存在します。

2拍子であれば合奏曲として演奏されたり、決して運指やフレージングは新節や他の五大民謡のように複雑ではありませんが、この絶妙な変拍子が難易度を著しく上げているのです。

これに挑戦するということはある種マニアックな領域に足を踏み入れることになります(笑)

 

一方唄は拍子による難易度の影響はあまり受けず、少々テンポ感が変わる程度でどのリズムの伴奏にも対応できるので難易度は低めで ★★☆☆☆ 程度かなと思います。

 

新節をマスターしたら旧節に挑戦してみましょう。
これができれば上級者と言えましょう!

 

中節

難易度 ★☆☆☆☆

中節はゆったりした3拍子のバージョンです。

まれに六段のようなシンプルな2拍子のバージョンも存在しますが基本的には3拍子がスタンダードです。

 

旧節と同じく後ろバチで連打することはあまりなく、音数が少なく地味目でテンポが遅い曲なので難易度は易しめです。

使えるツボ※4やリズムがよされ節と似ているので、この二つの曲の弾き分けがポイントになります。

津軽よされ節は前バチから後ろバチに移行する際スクイ※5が入りますが、中節の場合はこれを極力避けて間を生み出すのが特徴です。

しかし、三味線に比べ唄はゆったりしているものの旋律の高低差が激しく、豪快な節回しなので唄の難易度は ★★★★☆ くらいあるかもしれません…。

 

なかなか唄と三味線の難易度が噛み合わないものですね(笑)

何度も言いますが、地味なのでわざわざ曲弾きとして選曲されることもあまりないです。が、しかし、逆にこれをかっこよく飽きさせずに聴かせることができれば渋カッコいい玄人プレイヤーと言えるでしょう。

 

新節

難易度 ★★☆☆☆〜★★★★☆

新節は多くのファンが想像するザ・じょんから節じゃないでしょうか!?現にこの新節が曲弾きで主に演奏されるバージョンなのです。

 

軽快にしてシンプルな2拍子であるがゆえ、後ろバチの連打や細かいリック※5を盛り込むことができ、ダンサブルでキャッチーな雰囲気を生み出しています。

独奏で演奏されることが多いので、曲芸的な技術が採り入れられるという点においては五大民謡の中でも独自の進化を遂げていると言えます。

例えば他の民謡だとフレーズの定型があり、誰が聞いても曲を象徴するフレーズがあるのですが、新節の曲弾きはフレージングの自由度が格段に上がり、奏者によって全く違う曲になったりします。

よって流派やその他演奏スタイルによる差が出やすく奏者の特徴が測りやすい曲でもあるのです。また唯一トレモロ※6が使われる民謡でもあります。

これも曲芸的な進化の一つですね。

 

唄付け※7の場合は簡単なフレーズなのですが、曲弾きになるとフレーズの自由度が増すので難易度が ★★☆☆☆〜★★★★☆ と幅があるのです。

 

よく一口にじょんからと言っても聴くたびに全然違う曲みたい…。とおっしゃる方がいますが、まさに全然違うフレーズなのでその通りなのです。

ただ一の糸を連打→二の糸と三の糸で細かいフレーズ→三の糸の高音→音を小さくして低いツボに帰る→エンディングという一連の流れは一応あります。

それぞれのセクションでどういうフレージングをするか、というところが見どころですね。

 

筆者は弾くたびにアドリブなので何千パターンものじょんから節を弾いてきました。後からもう一回同じのを弾いて、と言われても採譜して覚え直して…とものすごく苦労するのです(笑)

津軽三味線奏者ならじょんから新節に始まりじょんから新節に終わる、といった生涯付き合っていく曲になるので、色んなパターンを勉強してたくさん吸収すればカスタムオプションが増えてとても楽しい曲になります!

 

まとめ

以上、津軽五大民謡の一つ『津軽じょんから節』についての紹介でした!!難易度は個人的なものではありますが、演奏する時の参考にして見てください。

時代の変遷とともに旧節、中節、新節、それぞれの時代に思いを馳せながら弾いてみてはいかがでしょうか?

 

■ 文中の注釈について
※1津軽三味線の独奏
※2大きい音を出すために胴の真ん中で叩くこと
※3タッカタッカといったような跳ねたリズム。3連符の二つ目を抜いて演奏する
※4糸を押さえる場所。別名:勘所
※5糸を下からすくい上げる技法。別名:返しバチ
※6糸を上から叩くタタキとスクイを交互に連続して行う技法。
※7唄の伴奏

 

■ 動画について
動画はYouTubeの共有よりリンクを生成した正規もので、YouTubeの定める範囲内の正常なリンクとなっております。視聴回数などは動画投稿者様にフィードバックされます。

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