和楽器の中でもニッチな楽器の1つ。
『琵琶』
ニッチすぎるゆえに今や世間から忘れかけられてしまっているこの楽器について、
5回に分けて紹介します。
まず、最初に…Q→琵琶って何?(1/5)
A→今でも演奏されている和楽器のひとつです。
一言で言えば
『ルーツは古い(紀元前3000年くらいの記録がある)けれども、現在の琵琶の型になったのはこの100年くらい。』
もう少し詳しく書けば…
琵琶の大元(おおもと)は古代ペルシア時代のウード。紀元前3000年くらいにはすでにあったようです。シルクロードを経て、中国経由で日本に来たのは奈良時代(710年〜796年)。現在も演奏されている「楽琵琶」はほぼ、この時代の琵琶のままです。庶民にまで広がったのは、鎌倉・室町時代(1336年〜1574年)の頃。平家物語ができたのは承久の乱(1219〜1221年)の最中から後くらいと言われていますので、「琵琶法師」が「平家琵琶を奏でながら平家物語(平曲と呼んでいます)を語る」もこの頃からと思われます。盲僧琵琶の起源がはっきりしていませんが、平家琵琶と同じくらいの成立と言われています。それが、江戸時代末期(1800年代末期〜1900年代初め)に鹿児島県で改良されて現在の形の「薩摩琵琶」が作られました。さらに明治30時代(1897〜1907代)になって九州・福岡で「筑前琵琶」作られました。これらが現在も演奏されているスタイルの「琵琶」です。
Q→琵琶って何?(2/5)
A→琵琶という楽器のパーツはこんな感じ。
種類によって(5種類)呼び方やパーツがまちまちなのですが、
大雑把に言うと図のようなところです。
細かい箇所は各琵琶で違いますが、これを押さえておけば大丈夫。
Q→琵琶って何?(3/5)
A→流派いろいろ。自分の好みを見つけましょう。
赤丸で囲ったところが流派です。
図のように現在、流派は「9」あります。
楽琵琶(1)、平家琵琶(1)、薩摩琵琶(4)、筑前琵琶(3)
薩摩琵琶だけは解説を。
薩摩琵琶の正派から錦心流ができ、
錦心流から錦琵琶ができ、
さらに錦琵琶から鶴田流ができています。
これだけあるのですが、さらに教える先生によって語りの調子が違います。
ですから、稽古に見学に行ったりお試しレッスンを受けるのが一番です。
結局は人との相性ですから。
見学はどこの会も大丈夫。演奏会で気になる演奏者がいたら、楽屋付近や受付で「お話しが聞きたい」といえば、一見さんだろうと楽屋に通してもらえます。
Q→琵琶って何?(4/5)
A→琵琶の代表曲もこれだけあります。
(3/5)の流派にある通り、流派がいろいろあるので、
各流派ごとに代表曲が違います。
・楽琵琶
楊真操、流泉、啄木という名曲もあるのですが、演奏者が非常に希少です。現在は雅楽のパートを担うパターンがほとんどです。
・平家琵琶=平家物語(平曲)を奏でる琵琶です。
・薩摩琵琶正派代表曲
城山、川中島、白虎隊、潯陽江(じんようこう)、武蔵野 など
・薩摩琵琶錦心代表曲
石童丸、河中島、西郷隆盛、本能寺 など
・薩摩琵琶錦琵琶代表曲
曲垣平九郎(まがきへいくろう)、時雨曾我(しぐれそが)、靭猿(うつぼざる)、お市の方 など
・薩摩琵琶鶴田流代表曲
敦盛、本能寺、壇の浦、義経、春の宴 など
・筑前琵琶旭会代表曲
那須与一、義士の本懐、綱館(つなやかた)、天の羽衣 など
・筑前琵琶橘会代表曲
茨木、安宅、隅田川 など
Q→琵琶って何?(5/5)
A→どこで習えるの?
演奏者自身がSNS等で告知していることもあれば、琵琶会主催の演奏会もあります。
琵琶って何?の(3/5)や(4/5)にある通り、流派で全くと言っていいほど違うので、演奏会に行くことをお勧めします。
その上で、
1 :カルチャースクール(読売・朝日・毎日文化放送 各地にあります)
2 :演奏者に直接聞く(琵琶奏者のサイトから質問)
という、2つの方法を紹介します。
また、動画でいいと思った奏者自身がネットに疎く、サイトやブログを持っていない…ということもしばしばあるのが「琵琶あるある」。
ですが、諦めないで! 琵琶業界は広くないので、曲名や演奏者名を出せば、自分の流派でなくても大体わかってくれることも多いもの。琵琶奏者を捕まえたら遠慮せずに聞きたいことを聞きましょう。
まだまだ奥深い琵琶の世界ですが、皆さんよろしければ、琵琶の世界へ遊びに来てください〜
琵琶を知りたい、という人は琵琶専門の情報サイト「初心者歓迎!琵琶処」もおすすめです!!
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