今回は津軽五大民謡の一つ、津軽三下りを紹介します!最後の砦と呼ぶにふさわしいであろうこの曲について、難易度と共に解説していきます。
そもそも、津軽三下りは竹モノと呼ばれる尺八による伴奏で歌う民謡を起源としています。
五大民謡はリズミカルなジャンルなので朗々と歌われる竹モノが起源というのは意外ですね!
こちらの曲はごく稀に旧節と呼ばれるバージョンが存在しますが中節、新節の定義については現在のところ不明です。特段旧節の指定がなければ普通の三下りを演奏するのがセオリーです。
ベーシックな三下り
難易度★★★★☆
リズムは五大民謡に多くみられる7拍子です。
三下りはなんといってもその名の通り三下りという調弦で演奏される唯一の五大民謡です。
三下りの調弦で弾く民謡自体がレアなので、この曲をよく弾きこまないと一向にツボに慣れません。そういった意味で一番最後に覚える五大民謡かな、と思われます。
強いていえばあいや節で使われるツボに似ていますが、一の糸では8ではなく9、13が使えたりと混乱しやすいです。
この調弦によってツボがややこしくなっているのですが、実は音階自体はじょんから節やよされ節、小原節と同じ系統なのです。
リズムも音階もよされ節などと同じですし、音数が少なくて地味というわけでもないので個人的に共感しづらいですがが、津軽三下りは哀愁があるとよく表現されます。
唄は特に低域に音域が広いのですが、瞬間的には最高音も高く広いレンジが要求されます。
こういった性質から他の五大民謡より半音高いキーで歌われることが多いです。
唄付けは唄い手のロングトーンがどれだけ延びるかだけ気を配っていれば、そこまでイレギュラーな節回しに翻弄されることはありません。あとは一気に急降下していく節回しが多いので、息継ぎや節の回し始めをよく聞いていないと高音で取り残されることがあります。
そういった時でも慌てずドンと一や二の糸の開放弦を鳴らしている間に低いツボに一気に跳んで帳尻を合わせてしまいましょう。
慌ててテンポが速くなってしまったり、ツボを外しまくると唄い手さんも動揺してしまい、崩壊する危険性があるので何よりも次で辻褄が合えばいいと泰然自若として伴奏するのが肝心です。
曲弾きですが、いかんせん五大民謡の中で特殊な曲ということもあり、あまりサンプルがありません。
唄のコンテストでも三下りでのエントリーは少ないので、唄、三味線ともにやはり得意とする方が少ないように思います。ただ数少ない資料を参照すると、あいや節で使えるフレージングが随所に見られるのでこれは参考になるのではないでしょうか。
使うテクニック自体は五大民謡全て変わりませんので、一の糸を連打するところ、三の糸の高音で綺麗な音を出すところ、など各セクションのバランスを整えて起承転結をハッキリさせれば十分魅せられるでしょう。
旧節
難易度★★★★☆
滅多に出てきませんが、絶滅危惧種というほどでもないので解説します。
音階はベーシックなものと変わりありませんが、リズムが中節化します。
他の記事でも再三触れていますが、3拍子にした上で前バチでのスクイを極力省略します。
そしてテンポが速くなり、節回しの展開も速くなります。
これによってゆったりしたロングトーンがほぼなくなり、急激な節の乱高下が出てくるので唄付けはベーシックなものより大変になります。
音数は減っているのになんだか忙しい!そういった感じの演奏になります。
遭遇することはほとんどないとはいえ、青森で開催される津軽三味線日本一決定戦での唄付けの部門ではこのバージョンが演奏されたこともあるので、大会上位入賞を目指すのであれば知っておかなければならないかもしれません。
まとめ
五大民謡最後の砦と呼ぶにふさわしい曲「津軽三下り」。難しさと特殊性はあるものの、演奏できるようにしておくことで引き出しが一層広まる、理解が深まる曲ですので、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか!!
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