今回は津軽三つモノの一つ、津軽小原節を紹介します!変幻自在の
おはら節は、津軽小原節の他に秋田おはら、塩釜小原、越中おわら、鹿児島おはらと似たような曲名がありますが、やはり南の方のおはら節が源流になっているとのことです。
よされ節同様、唄は華やかでわりかしコンテストでもよく上位でみられる印象があります。
津軽民謡は二上りという調弦(一の糸からそれぞれ1度、5度、オクターブ上の1度)がスタンダードになっていますが、この曲は本調子で演奏されます。
津軽以外の日本民謡では本調子は珍しくなく、むしろこっちがスタンダードと言っていいでしょうが、津軽三味線初心者にとっては「むっ、本調子か」と構えてしまうかもしれません。
やはり小原節も旧節、中節、新節etc…とあるようです。こちらは今でも途絶えずに受け継がれている曲ですので、一つずつ紹介していきたいと思います。
旧節
難易度★★☆☆☆
津軽手踊りの伴奏でよく聴くバージョンですね。軽快なシャッフルビート※が特徴です。(シャッフルビート = タッカタッカと跳ねた感じのリズム。三連符の二拍目を休む)
唄も三味線も難易度は高くないのですが、踊りの伴奏をする機会に恵まれないとなかなか演奏することはありません(笑)
秋田おはら節を速くしたような曲なので、秋田おはら節を先に覚えてしまうと楽かもしれません。小原旧節と違って秋田おはら節はわりかしよく歌われる曲なので実用的でもあります。
本調子ということで使うツボが若干変わります。
よく使う2−3や2−4をいつもの感覚で押さえてしまうとアレ?となってしまうので2−4、2−6にズラして使うようにしましょう。
一の糸、三の糸はじょんから、よされと同様に使えるので二の糸だけ気をつけましょう。
中節
難易度★★☆☆☆
じょんから節の中節同様ゆったりした3拍子のバージョンです。
唄は新節や後述する謎節の節回しをそのまま使えるので三味線のリズムが変わるだけになります。
小原節の中では一番マイナーなバージョンですが、たまに昔ながらの津軽民謡が好きな年配の男性(経験上なぜか女性は全くいない印象)はこのバージョンで歌われることがあります。
テクニック的には難しくないので念のため知っておくといざというときに「知ってるね〜君!」となるので余裕があれば挑戦してみましょう。
新節
難易度★★☆☆☆
新節は軽快な2拍子です。
これも新節という割にはレトロな選曲というイメージがあり、小原節と言われてこのバージョンが出てくることはまずないかなと思います。
フレージングや歌い回しは中節、謎節と共通する点が多いので特筆することもなく詳細は割愛します(笑)
謎節
難易度★★★★☆
小原節というと一般的にはこのバージョンを指します。色んな方に正式名称を聞いたのですが何節なのかわかりませんでした…。(ご存知の方いらっしゃいましたらご教授ください!)
他のバージョンを指すときは小原旧節、小原中節と指定し、特に指定がなく小原節と言われたらこのバージョンです。スタンダードなのに名称がハッキリしないとこも含め謎です(笑)
唄中に入ると2拍子なのですが前奏、曲弾きでは7拍子で演奏されます。これも謎です。←
フレージングはよされと基本的に同じなので調弦が違うことによる二の糸のツボの使い方さえ気をつければさして難しくないです。
しかし唄付けとなると話は別です。
各コーラスで歌詞の語尾を伸ばしながら歌うアドリブパートがあるのですがこれが非常に厄介なのです。
三味線はジャン!と一旦切るのですが、その後に唄がどういうパターンでくるか予想できないのです。
他の曲だと前兆があるので「そうきたか。よし、この節のパターンで対応しよう。」となるのですが、小原節は前兆がありません。リアルタイムで対応しなければならないので初見で完璧に伴奏するのはエスパーでない限り不可能です。
唄付けの大会では唄い手にアドリブでこられるとかなりリスキーな曲になってしまうので、五大民謡の中ではもっとも警戒しなければならない曲です。
また前弾き、曲弾きではよされ節を踏襲して弾く分には難易度は変わりありませんが、2拍子で曲を弾き始め、途中から7拍子に変わっていくというトリッキーな手法もあるので難易度は上がりますが、これが決まると非常にカッコいいです。
特にどこから変わったかわからないぐらいシームレスにリズムチェンジができるとかなりの猛者感が出ます。
よされ節のフレージングを応用できることもあり、よされ節の次に挑戦してみると比較的早く覚えられるでしょう。
まとめ
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